陸上競技の中長距離走には、上り坂を走る「坂道トレーニング」という練習方法があります。
その名の通り、坂道(上り坂)を走るトレーニングになり、レースで良い結果を出すためにはやっておきたいトレーニングの1つになります。
では、坂道トレーニングにはどのような効果があるのでしょうか?また、正しいやり方とは?
坂道トレーニングで期待できる効果
効果1.脚力のアップ
日常生活で階段を上がる時や坂道を上る時って、結構きついですよね?キツいということは、それだけ身体に負荷がかかっているということになります。
なので、トレーニングで上り坂を走ると更に負荷がかかってキツく、フラットな道を走るよりも地面を押し出す力が必要になり、ハムストリングやふくらはぎ、大殿筋などが鍛えられます。つまり、坂道トレーニングを行うことで脚力がアップする効果を期待できるのです。
効果2.心肺機能の向上
先程も言いましたが、上り坂は平地よりも脚に負荷がかかります。そのため、平地よりも呼吸は乱れやすく、心肺機能にかかる負荷も大きくなり、心肺機能が向上する効果を期待することができます。
フラットなところでも、走るスピードを上げることで心肺機能にかける負荷を強くすることができますが、坂道は上るだけで大きな負荷がかかりやすい。
一般の人でも、日常生活でハアハア言いながら上り坂を歩いている人って多くいますよね。そのことからも、フラットな道より上り坂のほうが心肺機能に負荷がかかっているのが分かります。
なので、坂道でのランニングでは手軽に心肺機能に負荷をかけることができます。手軽といっても苦しいですけどね。
効果3.効率的なランニングフォームに
坂道(上り坂)はただでさえキツく辛い。そのため、ランニングフォームに無駄な動きがあると、上るのが更にキツくなります。
上り坂を走る時は、できるだけキツさを軽減しようとするので、無駄な動きをなくそうとします。そうすると、以前よりも無駄のない効率的なフォームになる効果を期待することができます。
効率的なフォームになることで、坂道はもちろん、フラットなところでも無駄のない走り方をすることができ、無駄にエネルギーを消耗することはなくなります。
「無駄なエネルギーを消費しなくなる=燃費が良くなる」ということになるので、以前よりも長く走れるようになることに繋がります。
効果4.上り坂に強くなる
上り坂を走る練習をすれば、当然上り坂に強くなる効果も期待することができます。ランナーの中には、フラットから上りになっても、急激にペースダウンしないタフなランナーもいます。
マラソン大会などで、そのようなランナーを見かけたことがある方もいることでしょう。上り坂に強くなれば、坂道が多いコースでも強気で走ることができます。強気に攻めることで、自己ベスト更新など良いタイムが出ることもあります。
坂道トレーニングの方法
方法1.走るコースの途中に上り坂を入れる
ただ単純に、練習で走るコースの途中に上り坂を入れても坂道トレーニングになります。上り坂を走ると平地よりも負荷がかかるため、普通に上り坂を走っても良いトレーニングになります。坂道にきたら意識してスピードアップしても良いでしょう。
スピードを上げて坂道を上ることで身体にかかる負荷は強くなり、トレーニング効果が高まるのを期待することができます。坂道を上る時は、フォームがバラバラにならないように注意しましょう。
方法2.坂道を見つけてダッシュを数回繰り返す
坂道を見つけてダッシュを繰り返す「坂道ダッシュ」も良いトレーニングになります。上り坂でダッシュを繰り返すことで、身体に強い負荷をかけることができます。ダッシュなので比較的短い坂道でも行うことができ、50~100mくらいの坂道でも十分です。
上り坂をダッシュし、スタート地点に戻る時はゆっくり走って下りましょう。下り坂の軽いジョギングがrest(休息)となり、インターバル走のような効果を得ることができます。下りは足に衝撃がかかりやすくなるので、膝を痛めないように注意してください。
方法3.長めの坂道を数本走るのも良い
1kmくらいの、傾斜が丁度良い坂道があるなら、1,000mのインターバル走を行うように、1kmくらいの坂道を数本走るのも良いでしょう。
長めの坂道(長めの上り坂)をスピードを出して走ることによって、上り坂でのスピード持久力をつけることもできます。
でも、ランニングしやすい安全な長い坂道ってなかなかないですよね。当たり前のことですが、走りやすそうな坂道って多い地域には多いけど、ないところにはほとんどないですよね。
基本上り坂がある分下り坂もあるが
走り始める場所と走り終わる場所が同じ場合、上り坂がある分、下り坂もあります。同じ標高の場所まで戻ってくるわけですから。
なのでマラソン大会でも、スタートとゴールが同じ場所なら、上りがある分、下りもあります。とはいっても、坂道(アップダウン)が多かったり、傾斜がきつかったりすると、かなりの難コースになってしまいます。
その難コースを攻略するには、やはり上り坂に強くなることが大事であり、坂道トレーニングを取り入れる必要性は高いと言えます。