私は今はランナーですが、昔ボクシングをやっていたことがあり、プロのライセンスを取って試合をしたこともあります。
ボクシングのトレーニングで、強くなるために欠かせないロードワーク。
私はロードワークを全くしないで筋トレばかりしている時期もありましたが、現在よりも強くなりたいのなら走ることを推奨します。それは走ることによって、ボクサーに必要な様々な効果を期待することができるからです。
※この記事は、元プロボクサーで現在はランナーの私が、ボクシングのロードワーク(ランニング)について「なぜやるのか」「どんな効果があるのか」「実際にどう走ればいいのか」を分かりやすく解説しています。
ロードワークとは?
ボクシングでいう「ロードワーク」とは、リング上で戦うための基礎体力や脚力を上げるために行う、外でのランニングのことです。体重管理やメンタル強化にも役立つ、伝統的なトレーニング方法です。
ロードワークがボクサーにもたらす効果
持久力(スタミナ)が飛躍的に上がる
ロードワークは有酸素運動なので、当然持久力(スタミナ)がアップする効果を期待することができます。酸素を使い続ける能力が向上すると、試合中ずっと動き続けることが楽になります。
トップレベルの人の試合では12ラウンド行いますが、ラウンドが12もあるため、序盤はあまり手を出さずに様子を見る人もいます。また、C級ライセンスの人は4ラウンドまでしか行いません。
そのことから、スタミナの重要性を軽く見る方もいますが、スタミナはとても重要です。
なぜなら、4ラウンドまでの試合の多くは手数が多く、中身が濃い試合を行うことが多いし、12ラウンドまである試合でも序盤から打ち合ったり、後半は残された体力を使い切ろうとして手を出すからです。
1ラウンド3分と聞くと、それほど長くないと感じる方もいるかもしれませんが(特にボクシングを知らない方)、3分間休まずパンチを出しながら動くのは大変なことです。
なので、ボクシングでは持久力の重要性は高く、スタミナを向上させるトレーニングは必須であり、ロードワークは行ったほうが良いのです。
途中でスタミナが切れると、足の動きが悪くなるだけでなくパンチを出すのも苦労し、集中力が低下する可能性もあります。
またフラフラになってダウンしやすくなってしまうので、強くなりたいのなら走ることをおすすめします。
あなたは、試合終盤にスタミナが切れてヘロヘロになって、手数が少なくなったり、パンチに力がなくなったりしたボクサーを見たことはありませんか?
そのようなボクサーを見たことがある方なら、スタミナがどれほど重要なのかは理解できることでしょう。
長時間動ける体がベースにあると、ラウンド後半になっても動きやパンチの質を落とさずに戦えるようになります。
脚力とフットワークの強化
走るのですから、当然脚力がアップする効果を期待できます。強いパンチを出すには腰の回転力が大事で、腰の回転力を強化するには脚力を向上させる必要があります。
地についているのは足であり、パンチを打つ際は足を踏み出したり踏ん張ったりします。その力が腰など上に伝わっていき、強いパンチを打つことができます。
ロードワークでは、普通にジョギングをするだけでなく、ダッシュなどを行うことにより瞬発力もつけることができます。
脚の力や瞬発力を向上させることができれば、パンチの原動力となる「地面からの力」を効率的に伝えられるようになり、以前よりも強く鋭いパンチを打つことが可能になります。
また、走ることで下肢の筋力が強化され、フットワークを改善することも可能です。フットワークが良くなればなるほど、それだけ相手をかく乱することもできます。
体脂肪燃焼と体重コントロール
有酸素運動であるランニングは、効率的に脂肪を燃焼させることができ、ボクサーが減量する際にも最適です。走れば走るほど脂肪は燃焼されエネルギーを消費し、体は痩せて絞れていきます。
ボクシングは階級制であり、基本できるだけ下の階級で戦った方が有利になります。それはなぜかというと、階級が上になるほど相手のパンチの破壊力は増し、身長は高くなりリーチが長くなるからです。
同じパワーなら、体重を減らして、自分よりもパワーが少ない下の階級の人と戦ったほうが有利なため、多くのボクサーは試合前に減量するのです。
減量に効果的なトレーニングの1つがロードワークなので、多くのボクサーは試合前の減量期も走っています。走ることにより水分も抜けますからね。
ちなみに私は、ほとんど体重を減らさずに、自然の階級でプロデビュー戦を行いました。勇気あるでしょ(笑)。
メンタルの強化にもつながる
ロードワークは「走る」というシンプルなトレーニングです。シンプルだけに意外ときつく、精神的にもしんどいです。決めた距離をひらすら走り続けるので、肉体だけでなく心も強くなります。
比較的長い距離を走るのって単純で飽きやすく苦しいことから、結構嫌いな人って多いですよね。そのことから、ロードワークを続けることは心が強くなるなることに繋がるのは理解できるかと思います。
きつい状況でもペースを維持し、走り切ることは、メンタルタフネスに繋がるということです。
どのくらい走ればいい?ロードワークの実践方法
走る距離と頻度
走る距離は5~10km程度で十分でしょう。短くて4kmくらいで、長くて11kmくらいということです。長距離走のランナーではないので、1日に15kmも20kmも走る必要はありません。
体力がないボクシング初心者は2~3kmくらいで丁度良く、ランニングに慣れてきたら距離を伸ばしていきましょう。
ちなみに私がボクシングをやっていた頃は、7km~13kmくらい走っていました。長距離走のランナーである現在は、1日最低14kmは走っています。最低ですよ。多い時は23kmくらいですね。
何年か前までは最低19kmは走っていましたが、マラソンのトレーニング方法を変えたので走行距離は減りました。
では、走る頻度ですが、ボクシング初心者の場合は週に2、3日でOKです。趣味で始めた人は週1日でも良く、走らなくても構いません。
中級者や上級者の方は週に3~6日走ると良く、自分のレベルや目指している体型、「どれだけ強くなりたいのか」という気持ちにも合わせて走る頻度を決めると良いです。まあ実際、ボクサーが週に6日走ったら凄いです。
毎日走っても良いですが、毎日の場合疲労の蓄積が気になるので、毎日走る時は自分の身体と相談して、走る量や質を調整しながら行ってください。もの凄く疲れている場合は走らないのもありで、体調が悪い時は休みましょう。
- 趣味としてボクシングを楽しみたい方は、走らなくてもOK
- 初心者は、2〜4km程度からスタート
- 中級者は、5〜10kmが目安
- 上級者は、10km前後(体力に応じて調整)
週2〜3回から始め、慣れてきたら週4〜5回程度を目標にすると効果が出やすいです。走りすぎると疲労が蓄積するため、身体の状態を見ながら調整しましょう。
ダッシュやインターバル走を取り入れましょう
普通に走るだけでもスタミナをつけることはできますが、それだけだと脚を動かすスピードや、スピードを維持する力をつけることは困難です。
脚の速さやスピード持久力を向上させるには、ダッシュやインターバル走が効果的です。
50~100mくらいの距離を何本かダッシュすることにより、絶対的スピードや瞬発力を上げることが可能です。そしてインターバル走を行うことで、スピード持久力を上げることが可能です。
絶対的スピードを上げることは、リング上での脚の運びを速くすることに役立ち、スピード持久力を上げることはパンチを連打した後の回復スピードを上げることに役立ちます。
また、速いスピードでのランは、パンチを打つ際のキレを良くする効果も期待することができます。体のキレが良くなることは、相手のパンチを避けるのにも役立ちます。
ダッシュでの負荷を更に強くしたい場合は、上り坂で行うと良いでしょう。
1つだけ注意したいことは、毎日何本もダッシュしたり、毎日インターバル走を行ったりしないことです。
私はボクシングをやっていた頃、毎日何本も全力でダッシュしていたら、プロデビュー戦の2か月前にハムストリングの肉離れを起こしました。走れないほど重度だったので、治るまで(走れるようになるまで)1か月はかかりました。
高負荷のランニングを連日行うことは怪我の原因になるので気を付けてください。

ロードワークを行う時はランニングシューズがおすすめ
スムーズに快適に走ったり、質の高いロードワークを行うには履くシューズも大事で、走りやすいシューズを選びましょう。ランしやすいシューズといえばランニングシューズです。
ランニングシューズは走ることに特化しており、足が前に出やすい上に脚への余計なダメージを軽減してくれます。
走る時の集中力を高めたり、怪我を防ぐためにも、ランニングシューズを履くと良いでしょう。ダッシュなどスピードの速いトレーニングは、特に脚への負担が大きいですからね。
一言にランニングシューズといっても、様々な種類があるので、軽量性や推進性、クッション性やフィット感などを考慮して、自分に適したシューズを選んでください。
ロードワークを続けるコツ
ジムでのトレーニングは大変ですが、強くなりたいのならロードワークも行うことが大事です。
私は現在ランナーで、ボクシングをやめてから19年以上経過していますが、たまにシャドーボクシングをやると鋭いパンチを打つことができ、あまり弱くなっていないように感じます。
そのことからも、ボクシングのトレーニングとしてランニングをすることは大事ということが分かります。まあ、現在も上半身の筋トレはやっていますからね。
よく漫画やテレビドラマなどで「ロードワークにいってきます」などと言ってジムから走りにいきますが、私が通っていたジムはロードワークは各自で行います。
ロードワークは強制ではなく、ジムでのトレーニングとは別になり、自分の空いてる時間に自由に行うということです。
走るか走らないかは個人に任せられているので、強くなりたいのなら自分で走る時間を作って行うようにしてください。
- 走る時間をあらかじめスケジュールに入れる
- 疲労が強い日は軽めのジョギングにする
- 天候が悪い日は室内でトレッドミルやステップ系有酸素運動で代用
このように工夫しながら、無理なく継続していくことが大切です。
ロードワークはボクシングの土台
ボクシングで強くなるためのトレーニングは、ジム内だけではありません。ロードワーク(ランニング)で作る基礎体力と全身持久力は、試合の勝敗を左右する重要な土台です。
走ることが苦手でも、まずは短い距離から始めてみましょう。続けるうちに、パンチに力強さと持久力が備わってきます。ちなみに、力強いパンチを打つには、ロードワークだけでなく筋トレも必要です。

